住んでいる街を好きか否かで、日々の幸福度は変わる。私の場合、お金の使い方に如実に現れるということが分かっている。
社会人になって初めて住んだ街は小田急相模原。神奈川県での就職が決まり、勤務先だった相模原駅辺りへのアクセスと家賃の安さだけで急いで選んだ街だった。
私にとっては、とても閉塞感のある街だった。お店と言えばチェーン店がほとんど。緑も川もない。代わりに、米軍住宅のフェンスが一生続いている。そんな街だった。大学4年間を過ごしたカルチャーの街・熊本との差に愕然とした。それに加え、超多忙な職場。働くか寝るかの日々でストレスフル。そんなわけで、なんとか工夫して暮らしを楽しもうという気分にはなれなかった。憂さ晴らしにどうでもいいことにお金を使う日々。当然、お金は全然貯まらないので自己嫌悪にも陥る。「暮らし」という一点で見ると、人生で最も色がない期間だった。(なお、職場の人との出会いはとても良かった)
「住む街はちゃんと選びたい」。小田急相模原での経験で、人生で譲れない指針が一つできた。
その後は一瞬だけ東京で借り暮らしをし、再び神奈川県で住まいを探すことになった。仕事と私生活のダブルパンチで一度ダウンしていた当時の私は、何より、「いつでも緑を浴びれること」を切望していた。グーグルマップを開き、次の勤務先の武蔵中原駅までほどほどの距離感で緑を探した。
いくつかあったけど、目に止まったのは生田緑地か大倉山公園。生田緑地だと小田急だから変わり映えしないよな、大倉山にしてみるか、ぐらいの気持ちで決めた。
そんな風に始まった大倉山に住み始めて3年目(家は2つ目)。それはそれは最高。何が最高かと言うと、思った通り大倉山公園で気軽に緑を浴びれること。大倉山記念館という建築物が美しいこと。個人の飲食店がたくさんあること。坂があること。銭湯があること。
特に、今の家は光がたっぷりと入るので気持ちがよく、ベランダからの眺めも最高。家で過ごすことが至高になったので、外でお金を使わずとも幸福を得られるようになった。また、近所のイタリアンがとても美味しく、このお店にしっかりお金を使いたいので、無駄な外食をしなくなった。
しばらくは大倉山を楽しむつもりで、もしかしたら永住するかもしれないなとも思っている。
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